かたっぽうの恋
「ちょっとスッキリしただろ?」


「――う、うん、ちょっと気持ちが楽になったかも」

「ん、だろ?」

実習生さんはニッと口の端をあげ、ポケットに手を突っ込んだ。



「はい、これもカウンセラーのパワーですか?」


「ふはっ!、パワーって!?、そんなカウンセリング専門で勉強してないし、大層なもんじゃないよ、……おかしなやつ!」



――うーん、本気で言ったんだけどな…




「―――俺………、
お前の恋を応援する気になったわ」


「え?、ほんとに!?」


「まぁな、あ、外暗くなってるし、また明日おいで」


「嬉しい、ありがとう、実習生さん!」


「頑張るのは、お嬢さんなんだって事は忘れないこと、いいな」


「う、うん…」


「自信持つところからだな、お嬢さんは」


「自信ってどうしたら持てますかね?」


「そーね、まず……、

――俺が大人にしてやろうか?」



実習生さんの指が私の髪に触れてきた。


「っ!」

私はドキッとしたけど、それを隠すように実習生さんをキッと睨みつけた。



ちょっと調子乗りすぎだよ!



「他の方法でお願いしますっ!!」



私は実習生さんの足を強く踏み付けた。



「きゃひっ!、……他に考えときます」



しゅんっとなった実習生さんがなんだか可愛かった。





かっこいいのに、スタイルいいのに、

意地悪で少しエッチな、養護教諭(実習生)、





この先生なら、私を変えてくれるかも……


でも、自信とか…持てるかな?



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