たった一つのプレゼント



あれはまだ
恋に対して漠然としていた
小学校5年生の頃


隣に住む幼なじみの迅に
初めてバレンタインの
手作りケーキを作ってあげた。
迅に何かをプレゼントするのも
生まれて初めてで
少しばかりドキドキしてたっけ。




「迅、ケーキ作ったの。
 あげるよ!!」



玄関から怠そうな表情で
ケーキを見ながら
発した迅の言葉は
あまりにひどいものだった。



「学校でいっぱい貰ったから
 今さら魅麗からのなんか
 いらねぇよ。」



そう言って玄関のドアを閉めた



たたずむ私は
ただア然としていた。
だんだん状況を理解してきて

涙が出てきた。


いつからだろう



いつも隣にいてくれた迅が
どんどん私から
離れていってしまったのは…




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