たった一つのプレゼント


入学早々
私の父親が浮気をした。

それを知った母親は
始めは冷静だったのに
あまりにもひどい父親だったため
母親を傷つけた。

挙げ句の果てには
父親が家を出て行き

母親はというと

アルコール中毒に見舞われ
私への暴力が始まった。




「お母さんっ!!いやっ…!!
 お願いだから…」


「目障りなんだよ!!
 出て行きな!!!」




その時から
私の人生が狂い始めた。


普通の中学生をやっていたはずだった

普通の高校生をやっていたはずだった



だけど私は夜道を独り
路頭を迷っていた。




いかついお兄さんに話し掛けられ
一緒に夜の町で遊んで

警察に追われ



みんなは楽しそうに笑っていた。

だから私も笑った。



帰る場所もない
だから

ただひたすら

笑っていた。


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