たった一つのプレゼント
つい最近のように思える
家族で笑いあったあの頃が。
家族が崩壊したのも
ついこの間のようで
全てがあっという間に
過ぎていく
過去になっていく。
あの家で
たくさん泣いて
帰らない日もあった
だけど
家族を嫌いになれなかった
笑顔でいた記憶が
鮮明に残っているから。
月の光が
暗くなった迅の部屋を
ほんのり明るくした。
無意識にこぼれる涙
「魅麗……」
「あれ、まだ起きてたの?」
「お前こそ」
「……なんか寝れなくて」
暗いから私の涙に
気づいてないみたい。
そう思ってたのは私だけで
迅はちゃんと
私を見ていてくれる。
「もう…………泣くなよ」