たった一つのプレゼント


「付き合わないんじゃなくて
 付き合えないからだよ」


「……付き合え…ない?」


「そう。迅とは
 付き合えない。
 ずっとずっとこの先も
 あたしの一方通行の
 片思いだから」


「……どうして?」



「…ただの幼なじみより
 お互いが深く大切に
 思っちゃってるから…かな。

 あたしは迅を
 一人の男として、って意味と
 一人の幼なじみって意味で
 大切な存在として思ってる。

 だけど迅は
 あたしをきょうだいにしか
 見ていないから。」




「…………………。」



「物心ついた頃から
 あたしは迅しか
 見ていなかった。
 だから彼氏も一人も
 いた事がないし
 迅以外を好きになった事も
 一度だってない。」



「一度も……?」



「うん。
 気持ち悪いよね、あたし」



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