僕等の軌跡 2

「ありがとう。」

そう言って先生は笑った。
ほんの一瞬の事だった。
だけど今はそれで良かった。

「はい…。」

「わ…。これ全部手作りだよな!?頑張ったな。」
「え、あ…でも失敗したのもあって。」

先生は"美味しい"って何度もいいながら、全部食べてくれた。
失敗しちゃったおかずまで、"俺的には好み"なんていいながら。

「…。それ本当の笑顔?」

突然先生が言い出した。

「な、何言ってるんですか?当たり前じゃないですかーっ。」

少し図星だったから戸惑った。
全部が作った笑顔なわけじゃない。
だけど確かに私は少し作っていたから…。

「ごまかしたって分かる。その笑顔の裏に…何があるんだ。」

この笑顔の裏にあるもの…それは私にも上手く説明できません。
でも少なくとも先生は知らなくていいものなんだよ。
幸せにはいらないものなんだよ。

「なんにもないですよ?」

だから私は…いらないものを隠します。
それはきっと、私を潰そうとするでしょう。
そして私はそれに、堪えられる保証なんてどこにもないのでしょう。

だけど"今"を大切にしたいの。
先生とは笑っていたいの。

先生はやはり反対ですか?
一人で抱えるなと言いますか?
ドMなのかと言いますか?
悲劇のヒロインだと思いますか?

それでも私は曲げません。
だって私"頑固"だから。
これが私の考えた第4の選択肢であり、選んだ道だから。

今は偽りかもしれない。
だけど信じてるから。

どこまで続いてるのか分からないこの道を、私は出口を探して歩き続けます。
だってじっとしてたって、泣いていたって出口は来てはくれないから。

でも頑張って出口を見つけたら、そこには幸せがあるから。
だから皆、そこで待っていてね。
私、絶対絶対たどり着いてみせるから。

**

「美佳ちゃん。」
「何ですか…?先生。」
「今度デート…しよっか。」
「はいっ。」

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