スキ、やき




まるでミズの方が年下みたいだ。

「ねえ、圭」

『ん?』

「なんで中学卒業して、何も言わずに県外言ったん?あたし何も知らんかったけん、ビックリしたが」

『…ごめん』


だから会いたくなかった。

僕が県外を出た理由が、ミズにあるなんて言えるはずもなく。


ただ謝るしかない。

「謝らんといて。あたしは、圭のこと…ずっと…忘れれんかった。…圭は?」


『僕は向こうで彼女出来たけん、ミズのことなんか忘れた』



ごめん、嘘。

莉奈と付き合っても、やっぱりミズと重ねちゃう。

けど…言えない。


「…圭。……圭」

ポツリ、ポツリと僕の名を呼ぶ。


そして、僕の唇はミズの唇と重なった。






< 10 / 26 >

この作品をシェア

pagetop