「お前、うざい。」

それだけ言うと、前髪を思いっきり引っ張って手を離した。
バランスを崩し、私は地面に倒れ、しかもそこは泥で。



「アハハハハハハハッ。」

「キャハハハッ楽しみだねー。」

「これで小汚い虫、排除だね。」



彼女たちは去っていった。
そして私は、泥まみれになった制服を払いながら前髪を整えた。





前髪、ちぎれるかと思った。
というか、皮膚がはがれるかと思った。





「こんな格好じゃあ、千秋君に会えないや。」





その日は、千秋君を追いかけるのを辞めた。




  
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