ディアパゾン−世界に響く神の歌−
「皇弟、ダリル殿下。
あなた様が世界の王となられますよう、不肖ながら私ナサルタリム・イル、心より仕えさせていただきます」

魔術師――ナサルタリムは、『イル』という魔術師の称号をつけ名乗ると、慇懃に膝を折った。

それを肩越しに振り返りながら、ダリルはその男の“異質”を感じとりうそ寒い気持ちになる。

しかし、現在この国において有力な執政者の1人であり『最も次の皇帝に近い者』と自負するダリルには、たかが魔術師一人を恐れたことを認めるわけには行かなかった――。



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