ディアパゾン−世界に響く神の歌−
犬を追いやるかのように身振りだけで部下を下がらせ、ダリルは思考をめぐらせる。

(この時代に生まれた神を見つけ出し、神の箱と共に手中に収める―)

砕けた神の箱の欠片の一つと共に、誰の目にも触れてはならなかったはずの、始祖の二つの書を見つけてから、ダリルは兄に代わって皇帝になることよりもさらに大きな野望を抱くようになった。ナサルタリムという稀代の魔術師を得てからは、野望はさらに確信と変わっていた。

己こそ世界を掌握する支配者に選ばれたのだと――。




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