王子様と甘い生活
ガチャッとドアを開くと、暖かい風がふいた。
「芽依!」
悠真がフェンスの前で立っていた。
にこにこと笑っていて、安心した。
「話ってなんだよ?もしや告白とか?」
にやっといたずらに笑う悠真に、私は言った。
「そうだよ。」
「えっ…」
悠真の表情が固まる。
困らせてるってわかっているのに、止まらなかった。
「悠真…私、悠真が好き。先輩とは付き合ってないんだよね。私とのこと考えられないかな…」
正直、想っていた時間が長すぎて恋愛感情で好きなのかよくわからない。
でも…
どうしても伝えたかった。
悠真を見ると、驚いたように目を見開いていて、でも私をどう傷つけずに振れるか考えているみたいだった。
そんな姿を見ていられなくて、口を開こうと思ったら扉の方でカタッと音がした。
一瞬だけ、ポニーテールの毛先が見えた気がして…今の先輩?
「ゆっ、悠真!追いかけて!」
「はっ?」
「先輩、行っちゃうよ!」
「いや…お前…」
悠真は「何言ってんだ!」と驚いた。
そりゃ驚くよね。好きって言ったのに、先輩を追えって言うなんて、矛盾してる。
だけど、どこかで悠真の恋を応援してる自分がいた。