先生~あなたに届くまで~

「ふふ。
 先生、ありがとうございました。」

「おう。どういたしまして。」

そう言って二人で笑った。



春菜と早絵に自分の話しをしてから
何か凄く変わったというわけではない。

勉強だってやめていないし

誰もいない家で
ご飯を食べる事も変わっていない。

しっかり者でいないと
そう思う気持ちも変わっていない。

あの夜の夢を見る事もよくある。


だけど



心は軽かった。



自分の思いを受け止めてくれた人がいる。
一緒に泣いてくれた人がいる。

ただそれだけで心は軽かった。



もっと強くなれると思った。



「先生?」


私がもう一度先生を呼んだ時には
もう家の前だった。

「ん?」

先生が車を止め私の方を見る。



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