先生~あなたに届くまで~
「渡辺君。
寒かったでしょ?ごめんね。」
公園のベンチに座っている渡辺君を
見つけて私は歩み寄った。
「こっちこそごめん。
急に来ちゃって。
でもどうしても
ちゃんと話したくてさ。」
渡辺君は申し訳なさそうに笑った。
「私もきちんと話そうと思って。」
私も渡辺君を真っ直ぐ見てそう言った。
「でさ、何で急に友達にはなれないっ
て思ったの?」
渡辺君は私を責めない様に優しく言った。
「うん。
やっぱり間違ってると思って...。
渡辺君は私に好きだって言ってくれた。
その気持ちを知っていながら
友達ですって仲良くは出来ない。
それは渡辺君の気持ちを
踏みにじってると思う。
それに春菜や早絵に話せない自分がいた。
それはきっと自分が渡辺君の気持ちを
弄んでる気がして後ろめたいからだと
思うの。
だから渡辺君とは友達になれない。」
私は自分の思いを確かめながら
渡辺君に伝わる様にゆっくり話した。
「じゃあ今俺を知ろうとも
してくれないのは気持ちを
踏みにじった事にならない?」
渡辺君はまた優しくそう言う。
私は何も答えられない。
どういう態度をとっても
気持ちを踏みにじってる事に変わりはない。
「って浅川さんが悪いんじゃないんだ。
急に告白した俺が悪い。」
渡辺君は優しく笑いながら
話しを続ける。
「だけど昨日も言った通り
話したのは昨日と今日の2日間。
浅川さんの目に俺がどう映ってるか
わからないけど...
俺の事よく知らないでしょ?
これはただの屁理屈だけど
やっぱり何も知らないのに
返事はしてほしくないんだ。
俺が先に告白したのが悪かった。
もう友達になってくれとは言わない。
けど俺にも時間を欲しい。」
渡辺君は今度は真剣な目で私を見た。