先生~あなたに届くまで~

「自分で言いながら自分勝手だと思う。

 俺も友達って言葉に甘えてたし..。

 でももう少し時間をくれない?
 もう少し一緒にいてから返事して
 欲しいんだ。」

「でも...ほんとに
今はその人のこと以外..」

「わかってる。
それで構わない。

このままじゃ自分が
納得できないんだ。」

わがままだよねと渡辺君は
切なそうに笑う。

「困らせてるね。
 こんなつもりじゃなかったんだけど。

 ごめんね。

 でも困らせついでだから
 もう少し時間をもらうよ。」

渡辺君はおどけるように
そして切ない顔のままで笑った。


「何かごめんね。」

私はそれしか言えない。

「何で浅川さんが謝るの。
 悩ませてごめん。

 あぁこれでちょっと
 好感度ダウンだな。」

渡辺君が冗談を言うから
私はふっと笑った。


この人は私より全然大人だ。
自分が辛い時なのに場を和ませようと
してくれてる。

やっぱり良い人だな。

「やっと笑ってくれた。
 よし!!
 こうなったらアピールするしかないね。

 明日から一緒に登校しよう。

 友達ならちょっと遠慮するとこだけど
 友達じゃないしね。」

渡辺君はそう言って
また優しく笑った。




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