先生~あなたに届くまで~

先生と生徒


「失礼します」

社会科準備室の扉を開ける。

「おう!来たか!
悪いな。手伝わせて!」

先生はにかっと笑った。

こりない私の心臓はまたドキッと鳴った。
“もう病気だな”
自分で自分を笑いたくなる。

「本当に悪いと思ってます?」

私が先生に笑いながら言うと
先生は少し驚いた顔をして

「“はい”って受け取って
出て行くと思ってた。」

まるで独り言を言うくらい小さな声でそう言った。
自嘲気味に笑いながら。

「受け取って出て行きましょうか?」
私がそう言って笑うと

「いや!そういうわけじゃなくて...
って俺なに言ってんだ。」
先生は一人であたふたしている。

初めて見る動揺した先生がおかしくて
私は声を出して笑った。

「先生?大丈夫ですか?
悪いと思ってくれてるんですね。」

私は色んな意味を込めてそう言って笑った。

先生も少し目を見開いた後

「あぁ。悪いと思ってる。」
そう言って苦笑いした。

「それなら許してあげます。」

私はまた先生を見て笑った。

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