デイズ~Dear my mind~


だからおじさんが家に来ると知ったときは、正直に喜んだ。


なんて純粋。


そして、なんて浅はか。


おいしかった、おじさんが母さんと一緒につくったクリームシチュー。


一緒に食べると思ってたのに、食べる前に帰ったおじさん。


うちは無理矢理引き止めようとした。


父さん、ごめんね。


今思えば、夫と子どもがいるのに、家に男連れ込むなんて母さん度胸ありすぎでしょ。


まあ父さんはいつも夜遅くに帰ってたから、ちょっとくらいは、て思ったのかもね。


うちが父さんに言いつけちゃうことを考えてなかったのかなぁ?


もしかしたら、うちは口止めされてたのかもしれないけど。


「父さんにおじさんのこと言ったら会えなくなるよ」


って。


・・・そうだった気がする。


でも、うちにも父さんに言いつける理由がなかった。


おじさんはなんでも買ってくれるから。


父さんは、そんなにいろいろ買ってくれる人じゃなかったから。


ただ、それだけ。


あの頃のうちは何もかも、分からなかった。


何も。


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