smooch【BL/完結】
そう言った途端、彼は勢いよく立ち上がった。
どうするのかと眺めていると、ドアノブに手をかけ、動きを止めた。
こうなるとは思っていたけれど、熱でもあるのかと疑うほどに顔が赤い。
「ああ、もうこんな時間か」
わざとらしく時計を見て呟く。
「きっと待ってるよね、卒業式だし」
送っていくよといつも通りに声をかけて俺も立ち上がる。
……すると、うつむいたままで、しかしドアノブからは手を放した彼が口を開く。
「合格祝いついでに卒業も祝われたから」
そう言い終えた後、ボソッと小さく呟いた。
「……泊まってく」
そういえば先日、合格発表を見に行った後は、
電話での知らせで、最後に『拉致られる、家に』と言って切れたんだった。
場所が自宅でその言いぐさはおかしいけれど、俺は違う意味で笑えてきた。
じゃあ君が帰ろうとしてたのはどこだったの、と。
翌日に、3人で食事に言ってきたと聞いたけれど、
その疲れ具合から、かなり盛大に祝われたんであろう事が想像できた。
だから、もう今日は帰らなくてもいいと、そう決めたのか。