真輔の風
「想像だけど…
そいつ、あいつらの餌食になっていたのではないか。
それで自殺しちゃったから…
あいつら、今度は吉沢百合子を後釜にしようとして…
昨日のことがそれだと思う。」
栄作の姿が消えると、信一がまたまた囁くように話し始めた。
誰に聞かれると言う訳ではなくとも、
大きな声で言う事は憚られるのだろう。
信一も自分なりに考えていたのだ。
頭で考えるだけならば強くなくても出来る。
「うん、あり得るなあ。
龍雄の意識が戻って話を聞けたら一番良いけど、
今は無理だから…
彼女に会って見なくては分からないな。」
「だけど、俺の想像だけだから… 手帳は拾ったけど… 」
真輔が会って聞くと言うと、
信一は急に自信なさ気な口調になっている。
「分かった。昼から刑事たちが来るから、
夕方にでも吉沢百合子を訪ねてみよう。
手帳を拾った、と言えば良いだろう。
信一、どうする。」
「俺は… 」
そう言って信一は気弱そうに目をそらした。
「怒らないでくれよ。俺… 補導されたことがあるし…
喧嘩は弱いし… なるべくなら事件に関わりたくない。
ごめんよ。それに… 真輔だって、今おじいさんに言われただろう。
それって危ないかも知れない。
刑事が来るなら手帳を拾ったことだけ話して、
刑事から渡してもらえばいいじゃあないか。」