真輔の風
「君たちは県警の捜査四課、と名乗ったが…
昨日は神戸西警察署で、
少年課と生活安全課だったと記憶しているが… 」
80になっても栄作の頭脳は衰えていなかった。
リビングルームに案内され、
長いすに二人が並んで座った時、
高橋警部に栄作がまず尋ねた。
「あ、はい… 我々は県警本部四課です。
一課の刑事も来たほうが良かったかも知れませんが、
大勢で押し掛けましても、と思いまして… 」
「四課と言えば暴力団対策課だろう。
暴力団がらみなのか。
一課とは殺人課だろう。」
「はい… いえ、まだ何もわかっていませんが… 」
と、前にいる栄作を見たが…
睨むような鋭い目つきをして、
分かっていることは全て話せ、
と言われているような気持ちにさせられている。
四課と言えば、
荒っぽい暴力団を相手に、
体を張って取り締まっている警察官だが、
今の高橋は猫に睨まれた鼠になったような気分だ。
横原刑事は気がつかない振りをして、
持ち込んだノート型パソコンを電源につなぎ準備をしている。
「真輔、お前はコンピューターの用意が出来たら、
そこに表れてくる写真をよく見て、
見た顔の奴がいたら刑事さんに教えるのだぞ。」
「分かっているよ。」
そう言って、真輔は祖父の隣から横原の隣のアームチェアーに移った。