幕末仮想現実(バクマツバーチャルリアリティー)
それにしても、どこまで行くんだろ。
もう、疲れちゃったってば。
あ、文句言ったら止まった。
ん?ここは、なんか時代劇でよく見る、悪代官が女の人はべらせてお酒飲んでるとこの、かなりちっちゃいとこみたい。
こんなとこに、稔麿さんはいないわよね、絶対!
でも、ここまで来ちゃったもんはしょうがない。中まで付いて行っちゃおっと。

六畳一間か。
あ、誰か来る。お酒運んで来たのかな?
「失礼します」
やっぱ、女の人の声だ。
「おお、入れ」
障子がすすっと開いて入って来た人は、おおーっ!美人!
「こんな時間においでになるなんて。どないされたんどすか?桂はん」
「ああ、ちょっと時間が空いてな」
桂はん?
あっ!高杉さんが久坂さんに言ってた人だ。京都には桂さんがおるって。
この人の事かぁ。
「大事な会合があるんじゃが、まだ、誰も来ちょらんかったけぇ、もうちょっとしてから行こうかと思うての」
「そうどすかぁ」

大事な会合?ってことは、さっきの池田屋にいた方が、稔麿さんに会えるんじゃない?もしかして。
それに、ここにいてもなんか、邪魔者だし。
よしっ、戻ってみよっと。


なんか、随分迷って時間かかっちゃった。
桂さんに付いて歩いただけだから、あんまり道覚えてなくて。
もう、会合始まってるかな。

ん?なんか池田屋さんの前、人が集まってるみたい。

袖口がギザギザの白で全体は水色の羽織り。
見たことあるぞ〜、この集団。
っ!新選組だっ!
会合って、新選組の会合だったの?
いや、そんなはずない。桂さんが参加するはずの会合。高杉さんは前に『新選組に追っかけられた』って言ってたし…。

「守護職と所司代はまだかっ」
「まだ来ませんっ」
「ええい、こうなったら、我々だけで行くぞっ」
「おおっ」
行くって?あ、池田屋に駆け込んだっ!
「新選組だぁっ!ご用改めに参ったっ!」
あっ!池田屋って、よくドラマで新選組が、かっこよく戦ってる、あの池田屋だっ!
でもって、やられるのは、長州藩っ!

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