幕末仮想現実(バクマツバーチャルリアリティー)
「次の授業なんだっけ?」
数衛がいきなり話題を変える。
あたしはまだ納得いってないんだけど。
再放送があるの待つしかないか。
「次は日本史」
「日本史か。じゃ尾崎さんだ」
「そだね」
「宿題無かったよね?」
「ないでしょ。尾崎さん宿題なんか出さないもん」
とかなんとか話してるうちに、
キーンコーンカーンコーン!
のチャイムが鳴り響き楽しい楽しい昼休みが終わってしまった。あ〜あ。

 数分後、日本史の尾崎先生がやってきた。尾崎さんは30ちょい前かなって感じで、二児のママ。気さくな楽しい先生で子供と『キカイダーごっこ』をした話なんかもしてくれたりして和ませてくれる。ちなみに先生の役は『ビジンダー』らしい。
「え〜っと、今日は、150ページの尊攘運動の展開からね」
150ページね。
尾崎さんがシャッシャッと黒板に書く『尊皇攘夷』という字をあたしもノートにタラタラと写す。
前の時間ってどこまで進んだんだったっけ?
吉田松陰?ああ、幕末の長州でなんとかって塾やってた人だっけ?
それにしても昔の人って、後世の人間のこと考えてくれてんのかなぁ。
幕末の動乱なんて言われても、誰がなんだか覚えきれないよぉ。
どうでもいいけど、あ〜、午後の授業って、眠たい…。
おなかいっぱいな上に今日は、いい天気だし…。
ああ、目が閉じそう…、けど…。
「さぁっ!誰に読んでもらおうかなっ。ここんとこは、日本が明治維新を迎えるにあたって大事なところだから、よーっく聞いておいてよっ。もちろんテストに出るって意味だからねっ」
なんて、いつもの調子で教室中に響き渡る大きな声でいうもんだから、眠れや…しな…。
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