僕の愛した生徒
そのままデジカメの操作を続けている僕の横には、どこかを眺めながらソフトクリームのコーンをかじっている奈菜。
「奈菜?」
「なに?」
「ここ、汚れてる」
僕はカメラのレンズを指差した。
奈菜は“本当に?どこ?”
とレンズを覗き込み、
僕も“ここだよ”と一緒に覗く。
そして
僕の指がシャッターボタンを押す。
「秀、なにしてるの。
写っちゃったんじゃない?」
慌てるように奈菜は画像を確認した。
当然のことながら、僕と奈菜の顔がアップで写っている。
それを見て、奈菜の指はその画像を削除しようと動き回るが、
「消すなよ」
僕はそれを静止させた。
「えっ?」
驚くように顔を上げる奈菜。
「どうして?
こんなのが残ってたら大変!
誰かに見られでもしたら……」
「いいんだ。
僕と奈菜の記念だから」
「でも……」
困惑気味に僕を見つめる奈菜。
「僕たちが一緒にここに来た証」
奈菜は僕のその言葉に大きな目を更に見開いた。
「先…生…いいの?」
「あぁ、いいよ。
それに今は先生じゃないからな」
僕が奈菜にそう言って、イタズラに微笑みかけると、奈菜は瞳をウルウルさせて
柔らかな笑顔を浮かべ頷いた。
そして
「秀、ありがとう。
凄く嬉しい」
奈菜は眩(まばゆ)いほどの笑顔を僕に向けた。