時の皇子と記憶の舞姫
「美羽が…黒い何かに飲み込まれたんだよ。
んでそれを追いかけてその中に飛び込んだ。
そうしたら500年前のアクアマリンに着いたんだよ。」

「…なるほど…。」

「黒い何かに飛び込んだら時間を移動したっつーことは、黒い何かは『時空』だろ?
俺が何も魔法を使わずに時間移動をした…。
つまり今、時空は歪んじまってる。理由は分からねぇけど。
美羽は…時空の歪みに巻き込まれたんだ。」

「美羽って…?」

「俺の幼馴染だ。」



…苦しそうな表情。
その表情から読み取れる気持ちは…



「…美羽ちゃんが大切なんだね。とっても。」

「んなんじゃねぇよ。」

「もー…素直じゃないなぁ…。ね、蒼刃?」

「お前分かりやすすぎんだろ。
でもな、こいつの魔力をもってしても無理だぞ?
お前も知ってる通り、こいつの魔力は測り知れねぇが、基本は『ハート』
時空の歪みについては何も出来ねぇ。
俺の能力もソードだしな。」

「お前…タイム使えないのか?」

「…やったことない…。」

「すげぇ魔力の持ち主って言うから何でも出来んのかと…。」

「こいつは超人じゃねぇ。普通の人間だ。」

「…。」



あからさまにがっかりした表情を浮かべる皇子様。
…あ、あたし、大切なことを聞いてない。



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