エリートな彼に甘く奪われました
歩く度にふわふわと揺れる栗色の髪。こちらに向かって来るので全身がよく見える。華奢な身体と細い足音。白い首には小さなダイヤのネックレス。

あ、…さっきの庶務の受付の子だ…。

彼女は俺の斜め前の席に腰を下ろすと持っていたランチのトレイをテーブルに置いた。

すぐに食事に手をつける訳でもなく、すっと横を向くと窓の外を眩しそうに眺めた。

「浅香さん、お待たせ~、ランチ、取って来ましょ」

麻耶の声に彼女がぴくりとこちらを向いた。

うわ……、やばい。ガン見してたよ、俺…。

すぐに自分が凝視されてる事に気付いて不思議そうな顔をして俺を見た。

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