エリートな彼に甘く奪われました
そうよ、私も何度も直視したけどあの顔で笑いかけられたら、まともに遣り過ごせる女なんていないわ。

とにかく彼から離れて欲しい。

近寄らないで、私が今話してるのよ。

心の奥からじわじわと嫉妬の様な感情が沸いてくる。

私ったら、こんな風に思う権利なんてないのに。

つい感情的になりそうな気持ちを抑えて俯いた。

そんな私を他所に彼と彼女達の会話は続いていった。

「ごめん、俺、今、人事部に行かなくちゃならないから」

「あ、そうなんだー、すみません、またお話して下さいねー」

「うん、またいずれ。」

彼は軽く手を上げてから
歩き出そうとした。

しかしふと足を止めてくるりと振り返ると私の方を向いた。

「七瀬さんも、人事部に用事、あるんだよね?」

……?

そんな事言ってないけど。

一瞬考えてすぐに、彼が一緒に来て、と言いたいのだと分かった。






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