エリートな彼に甘く奪われました
「え、あ、はい、そうでした」

慌てて返事をすると彼はふわりと笑い、

「じゃあ、行こうか」

と言った。

二人の羨ましそうな視線を背に彼と並んで歩く。

「ごめんね?突然。でも伝わって良かった。愛、何か言いかけてたから」

「ううん。でも遼、人事部には?」

「あ、いいんだ、後で。出張の申請だけだよ。」

「どこかに行くの?」

「沖縄。来週だよ」

「来週?長いの?」

「気になる?うーん、二週間くらいかな」

「二週間…」

長い…。
行ってほしくない。
そんな事、言えないけれど。

横を向くと遼が私の顔を見てニコニコしていた。

「さみしいの?不満そうな顔してる」

「や、そんな事思わないわ。仕事なんだし」

強がって返事すると彼は笑顔から真顔に変わった。





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