エリートな彼に甘く奪われました
音もなにもない不思議な瞬間だった。

正常になった俺の耳には昼休みの社員食堂の混み合ったざわめきが響く。

少し離れた席で四、五人の女性社員のグループが何か話しながら俺を見ている。

思わず会釈して微笑むと、

「「きゃ~」」

と騒いだ。

麻耶が、「浅香さんっ」と言って手を引っ張り俺を立たせる。

あ、彼女は…と思いまたそちらを向くといつの間にやって来たのか、同僚らしき女性と食事をしていた。
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