エリートな彼に甘く奪われました
「こりゃ、やられたな」

釜田さんの声で現実に戻る。

周囲には沢山の視線。

遼の美しさに見惚れる目、私達の突然の行動を興味本位で窺う目。

そのどれもが明らかに立ち止まってこちらを見ていたのに私が目を向けると何事もなかったかのように立ち去って行く。

その中で一人、こちらに向けた視線を外さない鋭く光る彼女の目があった。

「私よ…、そこにいるのは、本当は私よ!
ずっと何年も浅香さんを見てきたのに…。
突然現れて、私から浅香さんを奪わないでよ!」

圧倒されて固まる私の隣から遼がゆっくりと彼女に近付いていき彼女の目の前に立った。






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