エリートな彼に甘く奪われました
酒のせいか、やたら馴れ馴れしい。

俺のグラスにビールをなみなみと入れて俺に持たせると、

「はぁい、乾杯!」

とグラスを合わせてくる。

そして艶っぽく上目遣いで俺を横から見上げると、

「浅香さん、麻耶の気持ち、知ってますよね」

と俺に腕を絡めたまま、ずずっと体重を預け、もたれかかってきた。

「ち、ちょっと森山」

引き剥がそうと押しやるけどギュッと掴んで離れない。

「浅香さん、全然口説いてくれないから、麻耶、待ちくたびれちゃいましたぁ~」

「え、だいぶ酔ってる?」

彼女の目前で何をしてくれるんだ、この子は!

俺は諦めずに森山をグイグイ押した。

すると突然、森山が俺の体の反対方向にバサッと倒れ、腕がパッと離れた。



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