エリートな彼に甘く奪われました
すると、釜田が灰皿に煙草を押し付けながらすっと立ち上がり、

「遼、そろそろ戻るか。」

と言った。

呆然としていた俺は、

「あ、ああ」と答えて慌てて煙草の火を消した。

このビアホールに来てからまだ四十分ほどしか経過してないのに、あまりにも色々な事が立て続けに起きて、正直もう戻りたくなかった。

このまま帰って頭の中を整理したかった。

そう思いながらも釜田に付いて行こうと立ち上がり、ふと窓の外に目をやる。

さっきは霧の様な小雨だったのに、大粒の激しい雨に変わっていた。

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