エリートな彼に甘く奪われました
時計を見るともう午前二時になっていた。

激しく降っていた雨は止んだのか薄暗い寝室のカーテンの隙間から月明かりが微かに射し込んでいる。

だけど、よりによってあの浅香さんと…。

社内の女性のほぼ全ての人が彼の姿に釘付けになり、彼が何かする度に歓声を上げたり、ときめいたりして、いつだって彼の噂を聞かない日はない。

はぁと小さく吐息をもらすと、彼の気配を背後に感じる。


ふわりと後ろから抱きすくめられ彼の匂いが漂うとまた胸がキュッと締められる。

「ありがとう、すっかり乾いてたよ」

後ろから耳の側で囁かれた。

視線を私の胸の辺りに落とすと、組み締められた彼の両手が目に入る。

長い指の先には形のいい綺麗な爪。

袖口からは真っ白なワイシャツが上着の下から覗いていてキラリと銀のカフスボタンが光ってる。

細い手首には少し大きめのデザインのジーショック。

もう、手先だけでときめく要素がたっぷりある。

彼は意識していないだろうけど、どうしてこの人は女性の心を鷲掴みするツボを沢山持ってるの。

「愛、どしたの?」





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