Sky heart
フェンスをまたごうとした、
その時。
「俺の唯一好きな場所から死んだりしないでくれる?」
とても澄んだ声だった。
聞いたことのないくらい、とても綺麗な声だった。
凜としていて。
汚れていなくて。
純粋で濁りのない、声。
あたしは反射的にその声の方を向いていた。
入り口前。
自動ドアの前に男が立っていた。
男というよりも、少年と言った方が正しいだろう。
同い年ぐらいに見える、幼い顔立ち。
ほぼあたしと変わらないと見える、身長と体格。
一瞬男か女か戸惑うほどだった。
それくらい細かった。