Sky heart
無数の針の痕。
刺しすぎているせいか、少し皮膚が変色してしまっている。
デコボコしてしまっている。
何箇所も何箇所も。
数え切れないくらいの痕に、あたしは言葉をなくした。
痛々しくて、直視できなかった。
彼の腕、その腕の痕は、もうここに何年もいることを示していた。
あたしは何も言わなかった。
彼もあたしに何も聞いてこなかった。
大嫌いなはずの沈黙が、今はとても心地良く感じた。
何故だか分からないが、彼はずっとあたしの手を握ってくれていた。
やめてほしかった。
あたしに〝人間〟としての感情を再び生んでほしくなかった。
なのに。
〝離して〟その一言が、言えなかった。
