プラトニック・ラブ
あたしは真っ赤な顔を見られたくなくて、俯いたまま、
「…どういたしまして」
小さく呟いた。
迅さんが離れた今でもドキドキは止まってはくれなかった。
「瑠璃ー?! さっきからずーっとそこで何してんのよー?!」
突然リビングに繋がるドアが開いてお母さんが大声で言ってきた。
けれど迅さんと目が合った瞬間、
「あらーっ! 迅くんいらっしゃーい」
なんて一気に声色を変えると笑い出した。
迅〝くん〟ってなに…?
どこまでもミラクルなお母さんだった。
「お邪魔してます。 帰ったら置手紙が置いてあったもので、失礼ながら来させてもらいました」
「はいはい。 いいのよーそんなの気にしないで。 2人ともご飯できたからこっち来なさい」
そう言って笑うと、台所へと消えてしまった。