プラトニック・ラブ
あたしと海さんは長い廊下を歩いていく。
「じゃあ、私が社長さんのやるから、瑠璃ちゃんが息子さんのやってもらってもいいかな?」
その言葉に、あたしは目を見開いた。
それだけは勘弁してほしい。
あんなことを言われて特に傷ついたわけではないけれど、叶うことならばもうあの人の顔は一生見たくない。
見たくないけど、ここで拒否したら怪しまれる。
しかもあたしより前からやっている、イコール上司に値する海さんの発言を断るなんてことは常識的に考えてできない。
どうしようもない。
2000円の為。
「…はい」
こう答えるしかなかったから、諦めて素直に頷いた。
最悪だ…。
歩きの速い海さんのせいで、あっという間に扉の前に着いてしまった。