君と私の特別




もういい。

忘れる。


そう自分に言い聞かせるように
何度も頭の中で唱えた



「バカじゃねぇの?」



たっくんに背中をむけて
教室に戻ろうと歩きだした瞬間
後ろから声がした



なんで?

バカってなによ‥

私は

私はもう縛っちゃいけないと思ったから言っただけなのに



「何も分かってねぇよ」



たっくんは続けてそう言った


心なしか、少し声が震えていたように感じた



何も分かってないことない

私は誰よりもたっくんのことを分かってる

少なくともさっきの女の子よりもずっとずっと分かってる



「そんなこと‥っ」




< 21 / 28 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop