─仮面─偽りの微笑み
繭璃はマンションに着くまで、とろんとしたままだった。
あれだけでか?
この先に進んだ時、壊れてしまうのではないのかと棗は思っていた。
「いや…寧ろ壊したいか」
うっとりと俺を見つめる繭璃の額をつつき、「おいっ」と現実に引き戻してやる。
「へっ?!あっ棗さん?あれっ?私っ…」
「着いたぞ、降りろ」
「はっはい…すいません」
状況が理解出来ていないのか、繭璃は「んー?」と首を傾げていた。
「行くぞ」
荷物を持ち、はやる気持ちを隠した俺は薄く笑って部屋へと向かった。