滅 ―不良と不良の恋愛論―




「藍っ!」


少年に駆け寄る青年。



「あのさ、お前、副総長なんだから。抗争中に隠れないでよ。」


“藍”
そう呼ばれた少年。


本名

松崎 藍(マツザキ ラン)。




「藍は仮にも女なんだから、お前こそ隠れろよ。」


「バッカ。仮にも、って何だ仮にもって。僕はれっきとした女だけど、今は男。
それに、総長が隠れたらダメじゃん。」



そう。

この少年、実は“女の子”なのだ。


藍という、男とも女ともとれる名前に、“僕”という一人称。

それから、藍色のショートカットの髪の毛。




<滅-メツ->の総長が女だと知っているのは、その仲間だけだ。






< 2 / 38 >

この作品をシェア

pagetop