意地悪な君へ
「先輩、どうかしました?」
由希くんが心配そうに顔をのぞき込んできて、ドキッとした。
「あっ…何でもないよ。」
「おかしいですね…いつもならひどーいって、キャンキャン騒ぐのに。」
「キャンキャンって、私犬じゃないんだけど!」
つい、いつもみたいに反論すると由希くんは「あっ、戻った」と言いながら、楽しそうに笑った。
委員会が終わると、いつもこうしてこの公園にきて、何時間も話をした。
たまにカフェに行くこともあったけど、最後にくるのはいつもこの公園だった。
ブランコの横に生える桜の木は、たくさんの蕾がついていて、もうすぐ咲くのかな。
明日が卒業式…間に合わないかな。