AL†CE!

「佐柚?」

終わったばかりの現国を早々に片付けて、数学の教科書をかばんから引っ張り出しながら、紗和がうしろの席であくびをした佐柚を呼んだ。

「おはよう」

現国は佐柚にとって大事な睡眠時間だった。

「最近さ、大地さんと佐藤さんと、よく一緒にいるでしょ」

紗和の横顔を眺めながら佐柚は、綺麗な黒髪だなぁと思う。
中学の頃からいつも、つやのある綺麗な紗和の黒髪には憧れていた。

「うん」
「仕事のこと教えたの?」
「ううん、言ってないけど、修羅場みられたしね」

佐柚は苦笑いをする。
紗和はため息をついた。
「大事にしなよ」

その言葉の意味を佐柚はわかっていたが、鼻で笑って受け流した。


「はーあ、今日仕事か…」

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