AL†CE!

たわいもない話をしながら時間が過ぎて、津川駅についた。

いつもより時間が早いので、あまり混雑しておらず、2人はのんびり改札を通った。

津川駅が2人の最寄りで大地はここから自転車に、功はここからバスに乗る。


「そういえばさ~」
「ん?」
「有末、俺達に敬語使わなくなったな」

ふと功が言ったことに、大地は大きく頷いた。

「な!あいつ、見かけによらずタフだし生意気~」

「かわいい後輩じゃん」

功が笑う。
功の笑顔は子犬のようにくしゃっとしていて、本人は認めたがらないが、かわいかった。

「お前のがかわいいっつの」
「だまれよ」

功が大地に殴りかかるフリをして、止まった。
視線が大地より奥に向けられた。
無言で大地もその視線の先を追った。


「有末だ」


佐柚がいた。
初めて大地達が佐柚に会った、あの階段を降りていく。

功と大地は顔を見合わせた。
考えていることは、同じだった。

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