AL†CE!
『イメクラ☆マッサージ30分~』
「…え」
まだ17時前なのに、ギラギラとピンクに光る看板。
2人は言葉を失った。
「ここだった?」
「…だろ」
悪いことをしているような気がして、大地は辺りを見回した。
功と2人、建物の陰に一度身を隠した。
「なんで?」
「この前のイカちいおっさんたちも、こゆこと?」
薄汚いイメクラのビルを見上げて、2人はため息をついた。
______
佐柚は、色の抜けた金髪のウィッグを手にとった。
楽屋のようになっているこの部屋の中では、並んだ鏡の前で、つんと鼻をつくようなきつい香水の匂いをふりまきながら、5、6人の女が化粧やら携帯やら、していた。
佐柚は化粧台には座らない。
派手な衣装でうまった姿見を使って、ウィッグの装着をはじめた。
そのとき、携帯が鳴った。
ガチャガチャした洋楽。
「アリス仕事中は携帯禁止!いいな!?」
オーナーの大木だ。
部屋の入口で、腕を組んで立っている。
ここの管理人で、たばこ臭い40代のおやじだった。
佐柚はちらっと大木を気にかけたが、無視して携帯を開いた。