AL†CE!
Ⅳ.ワンダーランド

11月になった。

大地と功は、今まで通りサッカーに明け暮れる生活に戻っていた。
朝練には誰よりも早く来て、夜の自主練には最後までいた。

あのバイトのあと、功が武志に麗沙からの伝言を伝えたら、苦笑いして謝ったらしい。
以前、麗沙に世話になったという武志は、その麗沙にも、2人のことを詐称していた。

大地と功は、チームメイトにも色々聞かれたが、魔が差してコンビニの夜間バイトをした、と口をそろえて嘘をついた。



朝練あとの部室で、男達が学ランに着替えている。

ここは3年生の部室だ。

「2年の有末佐柚って子、やっぱ超かわいくね!?」
「な!」
突然、佐柚の話題になった。

「あの子2-Fっしょ?兄弟学級でさ、体育一緒だったんだけど、やっぱ目立つな」

佐柚は2-Fだったのか、と大地は心の中で相槌を打った。
佐柚とは学校生活ではあまり関わらないため、クラスも知らなかった。

「あ、大地功!この前3-I来てたじゃん、お前ら訪ねて」

大地や功と同じクラスの
鈴村陵吾(すずむら りょうご)が声を上げた。

部室中の視線が大地と、それから功に向けられる。

「え、何お前ら知り合い?」
「同中?」
「大地と功のくせに」
あちこちから興味津々に問われる。

「あーもう、うるせえよ!いつか駅でバッタリ会ったの!な?」

大地が、2、3隣のロッカーをがさごそやっている功にふった。

「あぁ、駅で…ね」

功はその先をわざとにごして笑った。

「くそ、この子犬!」
周りが功の首をつかんで、ちゃかした。

「アドレスとか知ってんの?」

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