AL†CE!

「銀台で、経験のない若僧を短期間で雇う店っつったらお前んとこぐらいしかねぇ」

《褒めてないね?》

「源氏は雇用層が広くていいや」


女は、麗沙だった。

《昔の客にそんなこと言われるなんて、なめられたもんだな》

大木は鼻で笑う。

急に、麗沙の声が、やさしい響きになった。
《…大事なんだろう?》

「……」
大木は何も言わない。

《数年ぶりの電話の内容が謝罪とお礼?あんたはあの子がそれだけ大事なんだよ》

「…あいつには、雇ってこのかた拒絶されっぱなしだ」

《あんたが素直じゃないからだろう?》

「17のくせに妙に大人びてやがる」

麗沙は、黙って聞いている。
大木の吐き出した煙が、歪んで宙をうねり、天井の近くで音もなく消えていく。

「そいで不安定なんだ。あいつは俺も、店も、姉貴も、何もかも嫌って軽蔑してる。」

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