AL†CE!
《どうして未成年を雇った?》
大木は少し黙る。
どうしてだろうか、と大木は自問した。
初めて佐柚に会ったのは、真夜中のコンビニだった。
時刻と、その美しさに驚いて、大木は佐柚に声をかけたのだ。
「…家をやったんだよ。姉貴がつくった借金と俺が払ってやってる家賃、返すには水商売しかねぇだろ」
《惚れたの?》
「誰があんなガキに惚れるかよ」
麗沙は笑った。
「あんな女が一日中ふらふらしてたら、世の中の思うつぼだ」
大木にとって佐柚は、保護の対象でしかなかった。
今もそれは変わらない。
しかしそれだけでなく大切だった。
独り身の大木にとって娘のようなものになった。
そのことに、大木自身気づいていた。
《頑張んな》
「それは俺への言葉か?それともアリスへの伝言か?」
大木が聞くと、次の麗沙の言葉までは少し間があいた。
《両方、かな》