AL†CE!
Ⅴ.赤いばら白いばら

ガタンゴトン__

佐柚は1人電車に揺られていた。

宮斗高校は部活の加入率が高いので、
早い時間の電車には、あまり生徒はいない。

そんな夕方の電車の中で
佐柚は立ったまま扉によりかかり、ブレザーのポケットに両手を突っ込んで、外をみていた。

景色がのびる。

絵の具を筆でぐちゃぐちゃにひっぱったみたいだ。


これでよかった。

初めから2人はただの先輩で
大地には大地の、
功には功の、

友達がいて
彼女ができて
物語がある

そこに佐柚はいるべきではない人間で

だから佐柚は身をひいた。



もう、
めんどうはごめんだった。

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