年下王子は意地悪王子





「……何で、泣くんだよ」



「―――へ?」





泣いてる?


何それ、あたしが?


そんなことを思った瞬間、ツゥ…と頬に流れる雫を感じた。




「あ……」




ほんと、だ…


意識した途端、はらはらと際限なく溢れる。




「―――ご、めんっ…」




驚いたような、困ったような表情であたしを見つめる彼から視線を逸らし、手の甲でぐいっと涙を拭った。



少し痛いくらいに力強く。




「…おい」




そんな声と共に、あたしの腕に温かい手が重ねられる。


優しく掴んだあたしの腕をゆっくりと顔から離した。




「赤くなるだろ、馬鹿」



「は、離して…!」



「うるさい」




ぴしゃりと遮られる。
< 23 / 50 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop