年下王子は意地悪王子





「……いいよ、我慢しなくて。保健室行こっか」




あたしの頭をぽんぽんと撫でる美波の手の平に安心して、あたしは笑った。


クイッと美波の制服を掴み、ありがとうとつぶやくと、美波はフフンと鼻で笑う。




「琴音、ラッキーだったね。あの王子の“氷の微笑”をあんな近くで見られるなんて!」




こ、氷の微笑?


何それ…?




「一瀬くんって、クールじゃない?だから、一瀬くんの笑顔は超レアなの。琴音って、ほんとそういうのに疎いよね〜」




ハハッと笑う美波。


最後の方は若干小馬鹿にされた気がするけど…


そこじゃなくて。




「―――そうかなぁ…」




彼はよく笑うと思う。


たいていはとっても意地悪な顔だけどね。


でも、昨日はあんなに楽しそうに笑ってたし……


まぁあたしをイジメて、だけど。


みんな、ちょっと誤解してるんじゃないかな…




「琴音ー!置いてくよ?」




…って、あたしも彼のことなんて全然知らないんだけどね。


ただ……冷たい人じゃ、ない気がする。


きっとこれだけは、あたし、当たってると思うんだ。



.
< 39 / 50 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop