年下王子は意地悪王子
「……いいよ、我慢しなくて。保健室行こっか」
あたしの頭をぽんぽんと撫でる美波の手の平に安心して、あたしは笑った。
クイッと美波の制服を掴み、ありがとうとつぶやくと、美波はフフンと鼻で笑う。
「琴音、ラッキーだったね。あの王子の“氷の微笑”をあんな近くで見られるなんて!」
こ、氷の微笑?
何それ…?
「一瀬くんって、クールじゃない?だから、一瀬くんの笑顔は超レアなの。琴音って、ほんとそういうのに疎いよね〜」
ハハッと笑う美波。
最後の方は若干小馬鹿にされた気がするけど…
そこじゃなくて。
「―――そうかなぁ…」
彼はよく笑うと思う。
たいていはとっても意地悪な顔だけどね。
でも、昨日はあんなに楽しそうに笑ってたし……
まぁあたしをイジメて、だけど。
みんな、ちょっと誤解してるんじゃないかな…
「琴音ー!置いてくよ?」
…って、あたしも彼のことなんて全然知らないんだけどね。
ただ……冷たい人じゃ、ない気がする。
きっとこれだけは、あたし、当たってると思うんだ。
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