年下王子は意地悪王子
「――――颯ちゃん、遅いなぁ…」
何となしにぽつりとつぶやいた声は、目の前に座っている神経質そうな先生に聞こえたみたいで、ジト…と睨まれた。
うっ…と首を縮め、持っていたお弁当で顔を隠し、こっそりとため息をこぼした。
――――今はお昼休み。
美波の後押しもあって、颯ちゃんとの約束通り、化学準備室に来たまではいいんだけど…
いざドアを開けてみると、あたしを呼び出した当の本人の机はからっぽで、代わりに名前も知らない理科の先生が仕事をしていた。
何だ、コイツ…とでもいいたげな目で見られ、どうしようもなく帰りたかったけど、そんなことをしたら後々が怖い。
絶対に颯ちゃん、怒るもん……
だから仕方なく颯ちゃんの椅子に座って、颯ちゃんを待ってるんだけど…
5分経っても、10分経っても颯ちゃんは来ない。
どうしよう…と思案しているあたしの耳に、「…立花」と低い声が飛び込んできた。