年下王子は意地悪王子





「――――颯ちゃん、遅いなぁ…」




何となしにぽつりとつぶやいた声は、目の前に座っている神経質そうな先生に聞こえたみたいで、ジト…と睨まれた。


うっ…と首を縮め、持っていたお弁当で顔を隠し、こっそりとため息をこぼした。






――――今はお昼休み。




美波の後押しもあって、颯ちゃんとの約束通り、化学準備室に来たまではいいんだけど…


いざドアを開けてみると、あたしを呼び出した当の本人の机はからっぽで、代わりに名前も知らない理科の先生が仕事をしていた。


何だ、コイツ…とでもいいたげな目で見られ、どうしようもなく帰りたかったけど、そんなことをしたら後々が怖い。


絶対に颯ちゃん、怒るもん……


だから仕方なく颯ちゃんの椅子に座って、颯ちゃんを待ってるんだけど…


5分経っても、10分経っても颯ちゃんは来ない。


どうしよう…と思案しているあたしの耳に、「…立花」と低い声が飛び込んできた。
< 40 / 50 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop