二人のおうち
「なあ沙帆」
「なあに?」
未だお菓子を袋に詰めている沙帆に洋太は手を動かしながら問い掛ける。
沙帆も手は休めず返事をした。
「明日はゆっくりと荷物の整理をして、あさってに家具や雑貨を揃えに買い物へ行こう」
「お買い物?」
「ああ」
沙帆は買い物という言葉に嬉しそうに反応した。
そんな沙帆の頭をするすると撫で、洋太はまた袋の口を結ぶ作業を再開した。
「……」
なんだか洋ちゃんはお兄ちゃん、というよりはお父さんみたい。
沙帆はお菓子を片手に思った。
頭を撫でられたり、約束をしたり、まるで洋太が保護者のように感じられる。
不思議と嫌な気持ちはしなかった。
こんな優しいお兄ちゃんなら、いや、なんだか少しエッチだったけど嬉しいな。
そう思った。